GLP-1ダイエットとは、ホルモンの一種であるGLP-1(Glucagon-Like Peptide-1)を活用したダイエット法であり、食後の血糖値を下げる作用と食欲抑制作用による減量効果が期待できます。
GLP-1ダイエットで使用するGLP-1受容体作動薬には注射薬と飲み薬が存在しますが、とくに飲み薬は誰にでも使用しやすい選択肢です。
今回の記事では、GLP-1ダイエットのなかでもGLP-1が含まれた飲み薬であるリベルサスについてまとめました。
ストレスが少なく効果的なダイエット方法を探しているのなら、ぜひ参考にしてみてください。
GLP-1とは?
GLP-1は食事の影響を受けて上下する血糖値と深い関係があるホルモンで、人間の小腸から分泌されます。
GLP-1受容体作動薬は、食後の血糖値を下げる目的で糖尿病治療薬として開発されました。
GLP-1によって血糖値が下がる仕組み
人間が食事から吸収した糖分は、消化酵素の作用でブドウ糖に分解されたうえで血液中に入り込み、全身に行き渡ります。
GLP-1は血液中のブドウ糖が増加し、体内の血糖値が上昇したタイミングで小腸から分泌されるホルモンです。
分泌されたGLP-1は、すい臓にたどり着いてインスリンの分泌を促します。
インスリンは血液中のブドウ糖を必要な細胞に送る働きがあり、上がりすぎた血糖値を正常な状態に戻します。
正常範囲の血糖値は70〜109mg/dLで、食後の血糖値の正常範囲は140mg/dL未満です。
糖尿病になると空腹時でも126mg/dL以上、食後は200mg/dL以上まで血糖値が上がります。
何らかの理由でGLP-1の分泌が少ない方はインスリンの量も不足し、ブドウ糖の処理が追いつかずに血糖値が下がりにくくなります。
血糖値が高い状態が続くと、血管の損傷や免疫機能の低下、糖尿病などのリスクが高まる点に注意が必要です。
GLP-1受容体作動薬の効果は持続する
GLP-1は人間の体に存在するホルモンですが、小腸で分泌後すぐ酵素に分解されることから、効果は持続しません。
GLP-1受容体作動薬は効果を長く保つ目的で開発されており、酵素の働きで分解が進みにくくなるよう工夫が施されています。
そのため、本来のGLP-1ホルモンと比較して、インスリン促進効果があると言えるでしょう。
またGLP-1受容体作動薬は、経口薬よりも注射薬の種類の方が多く存在します。
注射薬は毎日または毎週ペースで患者が医師の指示通りに自身で注射します。
GLP-1飲み薬「リベルサス」とは?
リベルサスは、現時点で存在するGLP-1受容体作動薬の唯一の飲み薬です。
注射薬と同じ効果が期待でき、より扱いやすいという特徴があります。
世界初のGLP-1経口薬
リベルサスは、世界ではじめて生まれたGLP-1経口薬です。
リベルサスが開発されるまで、GLP-1受容体作動薬は注射薬のみ存在していました。
経口薬は注射薬に比べて患者の導入ハードルが下がることから、より多くの方がGLP-1受容体作動薬を使いやすくなったといえます。
1日1回の経口投与で効果が得られるため、注射が苦手な方でも気軽にGLP-1受容体作動薬を普段の生活に取り入れられます。
2型糖尿病の治療薬
リベルサスは糖尿薬の治療薬として日本国内で2020年に承認され、2型糖尿病患者に処方されています。
2型糖尿病とは、日本国内で最も多い糖尿病の種類です。
遺伝子的要因によるインスリン分泌の低下に、不健康な生活習慣や食生活などの環境要因が加わることで発生します。
日本には2型糖尿病の疑いがある患者が全国に約950万人存在しており、今後も増え続けると考えられています。
2型糖尿病患者の遺伝性は強く、両親が患者である場合、子どもの発症率は通常の3〜4倍です。
2型糖尿病患者は食事療法や運動療法のみでの症状緩和が困難であるため、リベルサスを含めたGLP-1受容体作動薬を用いて血糖値をコントロールする必要があります。
リベルサスのダイエット効果
リベルサスにはインスリンの分泌を促進する効果と食欲抑制操作があるため、服用を続けることでダイエット効果が期待できます。
空腹感が減ることから、無理な食事制限やハードな運動をしなくてもダイエットをおこなえるでしょう。
ただし、その効果は服用を中断したり、終了したりすると失われます。
リベルサスでダイエットを成功させたあとは、リバウンド防止を目的とした健康的な食生活や適度な運動が必要です。
一部の医療機関では、リベルサスの服用を終了したあとの生活について適切な指導を受けられます。
GLP-1ダイエットの4つのメリット
GLP-1ダイエットは、ストレスを最小限に抑えて減量効果が得られます。
ここでは、GLP-1ダイエットのメリットをまとめました。
自身の求める効果が得られるかチェックしてみてください。
食事制限が必要ない
GLP-1ダイエットでは胃の働きが抑制され、食べたものが普段よりも長時間胃にとどまることから、自然に食欲が抑えられます。
そのため極端なダイエットのように、無理な食事制限をする必要がありません。
高カロリーなものをいくらでも食べてよいわけではないものの、食欲が減少して少ない食事量でも満足できます。
ただし、健康的にダイエットを成功させる目的で、栄養バランスを考えた食事をとることをおすすめします。
リバウンドが起こりにくい
ダイエットのリバウンドは、食事制限によるストレスが爆発して過食したり、減量後にご褒美として食べ過ぎたりなどで起こりやすいものです。
GLP-1ダイエットでは無理な食事制限が必要ないため、リバウンドのリスクも抑えられます。
理想の体重まで減量を成功させたあとは、健康的な食事と適度な運動を心がけてください。
GLP-1受容体作動薬の服用を終了すると、食欲やインスリンの分泌量は元に戻りますが、食事の量を増やさず服用中と同じような食生活を続ければ、リバウンドする可能性は低いでしょう。
空腹を感じにくい
ダイエットの大敵といえる空腹は、ストレスの原因になります。
空腹に負けてダイエットを挫折した経験がある方も多いでしょう。
GLP-1ダイエットは口にした食べ物が長く胃に留まり、空腹を感じにくいことから、余計なカロリー摂取を防止できます。
ストレスなくダイエットを進められるため、ダイエット中も穏やかに過ごせるでしょう。
きつい運動をしなくてよい
運動は健康的な体を手に入れるために欠かせないものですが、運動のみで消費可能なカロリーは限られており、きつい運動をしても簡単に減量効果は得られません。
たとえば、30分ランニングで消費されるカロリーは200kcal〜300kcal程度、1時間のウォーキングの場合は150〜350kcalです。
お菓子やパンなど気軽に食べられる食品のカロリーは300kcal以上のものも多く、摂取カロリーは消費カロリーを簡単に上回ります。
運動のみで痩せるためには、きつい運動を長時間続けなければいけません。
忙しい毎日を送る方からすると、運動メインのダイエットは現実的ではないといえるでしょう。
GLP-1ダイエットでは無理なく食事の量を減らし、ダイエット効果が得られることから、きつい運動は必要ありません。
とはいうものの、GLP-1ダイエットに加えて適度な運動を取り入れれば、基礎代謝の向上による美容効果や病気を予防する効果が期待できるでしょう。
よりGLP-1ダイエットの効果を得たい方は、適度な運動を意識的に取り入れてみてください。
GLP-1ダイエットの2つのデメリット
GLP-1ダイエットにはメリットのみでなく、いくつかのデメリットも存在します。
自身が優先するべきことは何かを考え、メリットとデメリットを比較したうえでGLP-1受容体作動薬の活用を検討してみてください。
副作用が起こる場合がある
どのような薬にも何らかの副作用があります。
GLP-1受容体作動薬の代表的な副作用は次のとおりです。
- 胃腸障害(下痢、便秘、吐き気、嘔吐、悪心)
- 低血糖(倦怠感、脱力感、動悸、ふるえ、頭痛、めまい)
- 急性膵炎・胆石症
- アナフィラキシーショック
- 血管浮腫・腸閉塞
- 甲状腺髄様癌
胃腸障害は2〜3週間かけて少しずつ改善していく場合が多いものの、最も発生頻度が高い副作用です。
症状が強い場合や改善しない場合は、医療機関に相談しましょう。
またGLP-1ダイエットをしながら食事を制限し過ぎると、低血糖症状が現れる方も存在します。
低血糖症状が現れた場合は、ジュースや飴を食べて糖分を摂取し、意識的に血糖値を上げましょう。
注意点として、症状が改善しない状態で車の運転や機械の操作をしてはいけません。
服用できない場合がある
GLP-1ダイエットは、次の方に適していません。
- すい臓疾患、甲状腺疾患、重度の胃腸障害がある方
- 脳下垂体機能不全、副腎機能不全など低血糖を起こす可能性が高い方
- 糖尿病の方
- 腸閉塞の方
- 腹部手術の既往歴がある方
- 妊娠中または妊娠予定がある方
- 授乳中の方
- 摂食障害の方
- 内分泌疾患やステロイドなどの薬剤の影響で肥満の方
- うつ病の方
- BMI18.5未満の方
- 未成年の方
- 60歳以上の方
- セマグルチドにアレルギーがある方
自身がGLP-1ダイエットの対象であるか確認したい方は、診察時に医師に相談してみてください。
GLP-1飲み薬「リベルサス」の飲み方
GLP-1飲み薬であるリベルサスの飲み方についてまとめました。
リベルサスの用量
リベルサスには3mg錠、7mg錠、14mg錠の3種類が存在し、はじめは副作用を最小限に抑える目的で3mg錠から内服します。
1か月程度服用を続けたあとは経過を見ながら徐々に用量を増やしますが、少量で十分な効果が現れている方には増量を進めない場合もあります。
医師と相談しながら用量を決めましょう。
リベルサスの用法
リベルサスは起床後または空腹時のタイミングで1日1回のみ服用し、その後30分間は飲食やほかの薬の服用を控える必要があります。
満腹時の服用や服用後の飲食はリベルサスの効果を減弱させるため、注意しましょう。
リベルサスを飲み忘れた場合も、翌日の服用量を増やしてはいけません。
GLP-1飲み薬「リベルサス」を使用する前に知っておきたいQ&A
GLP-1飲み薬であるリベルサスの使用を考えている方に向けて、事前に把握すべき知識をまとめました。
ほかにも疑問点がある方は、直接医療機関に問い合わせてください。
疑問や不安な点がない状態で服用を開始しましょう。
リベルサスの効果はどのくらいの期間であらわれますか?
リベルサスの効果は、服用後3か月程度で現れはじめます。
しかし、服用を中断した場合、食欲抑制やインスリン分泌促進などの効果はなくなります。
そのため、服用中断によるリバウンドの可能性も考えられるでしょう。
リベルサスを中断するときや服用を終了する場合には、自身の食生活に十分な注意が必要です。
また、リベルサスの効果や効果が現れるまでの期間には個人差があります。
リベルサスの処方は保険適用されますか?
リベルサスは糖尿病治療薬とダイエット薬として活用可能な薬であり、用途で保険適用の有無が決まります。
日本国内では糖尿病治療薬として承認されていることから、糖尿病治療が目的での処方では保険が適用されます。
ただし、肥満治療のための処方は保険適用外の自費診療になるでしょう。
個人輸入できますか?
オンライン通販を活用すれば、リベルサスを個人輸入できます。
ただし、個人輸入した医薬品には粗悪品が混入している可能性があるのみでなく、自身の体質や体調に適した用量と用法がわかりません。
そのため、健康被害や重篤な副作用が現れる可能性があります。
リベルサスを含め、医薬品の個人輸入はリスクが高い行為です。
リベスサスは必ず医師から処方されたもののみを服用してください。
まとめ
GLP-1ダイエットはインスリンの働きを活性化させ、適切な血糖値を維持するダイエット方法です。
食欲抑制効果もあるため、空腹に苦しむ必要なく減量が進められるでしょう。
GLP-1受容体作動薬のなかでも経口薬として知られているリベルサスを活用すれば、注射が苦手な方でもGLP-1ダイエットにチャレンジできます。